アマガミ 響先輩SS 「あなたのお陰」


 「(あ、森島先輩と塚原先輩だ。ちょっと声をかけてみようかな……)」

 「あ、橘君だ」

 「どうしたの? なにか用事?」

 「二人が話をしているのを見かけたから、ちょっと声をかけてみたんです。
 それにしても、いつ見ても仲がいいですね」

 「そう?」

 「はい」

 「うん、私とひびきは親友だから」

 「でも不思議ですよね」

 「なにが?」

 「よく、似たもの同士は仲が良いっていうじゃないですか。でも森島先輩と塚原先輩は
 どちらかと言うとあまり似通っていないって言うか」

 「ふふ、確かにそうだね。はるかはどちらかと言うと目立つし明るい感じがするけど、
 私は地味で硬いイメージがあるからね」

 「あ、いやその」

 「いいのよ。実際そうだし。たまに私もはるかみたいにもててみたいなって思うことが
 あるけど、ここまですごいとそれはそれで大変だよね」

 「んー、ひびき、なんか言葉にとげがない?」

 「そんなことないわよ。屋上と校舎裏を全力疾走するのは疲れるだろうなあって思うだけ」

 「むー、確かにあれはあれで大変だったけど」

 「でもまあ、はるかといると楽しいのよ。色々大変だけどね」

 「本人の目の前で大変って言うかな」

 「本人の目の前だから言うのよ」

 「まあまあ」

 「あ、でもね。私はひびきが一緒にいてくれるから楽しい学校生活を送れていると
 思ってるんだ」

 「そう?」

 「うん、私が困ったり悩んだりトラぶったりしたときも、ひびきが色々とフォローして
 くれるから大助かり」

 「はあ、フォローする身にもなって欲しいな」

 「具体的にはどんなフォローをしてるんですか?」

 「んー、そうね……」

 「そうね。前にもちょっと話したけど、はるかって優柔不断な割りに言うことを
 聞かないから、物事を決める時に手伝ったり、上手な振り方を考えたり、振った
 相手のフォローをそれとなくしたり……かな」

 「なんか、スイーパーって感じですね」

 「ふふ、そうかもね。結構気を遣うんだけど、でも色々面白いよ」

 「さすがひびき、頼りにしてるわ」

 「少しは自分で決めれるようになってね。卒業後も一緒とは限らないのよ」

 「うー、それはそうだけど……」
 

 森島先輩は塚原先輩のお陰で楽しい高校生活を送れている。
 塚原先輩は森島先輩と一緒にいることが楽しい。
 持ちつ持たれつなんだな。


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