アマガミ 響先輩SS 「パーフェクトな存在」


 「(あ、廊下の先を歩いているのは塚原先輩だ。追いかけて挨拶しよう)」

 「塚原先輩」

 「ん? ああ、橘君」

 「どうしたんですか?」

 「うん、先生にちょっと頼まれてね。職員室に行って来たところなんだ」

 「そうなんですか」

 「頼みやすいのかなんなのか、良く手伝いを頼まれるんだよね」

 「いつも思うんですけど塚原先輩ってすごいですよね」

 「え、なにが?」

 「例えば今日みたいに先生に頼りにされたり、七咲や他の水泳部の部員の面倒を見たり
 森島先輩のフォローをしたり、大学だって推薦で受かったわけだし、まさにパーフェ
 クト、ですよね」

 「そ、そんなことないよ。先生のは今も言ったけど頼みやすいからだろうし、水泳部は
 私は部長だから彼らの面倒を見るのは当たり前だし、はるかは……なんだか放って
 おけないから」

 「でも、七咲がよく言ってますよ。あんなすごい先輩は他にはいないって。部長だから
 とか先輩だからって言うレベルを超えてるって」

 「あ、七咲はちょっと特別。彼女のやる気や熱意、才能を見ていると”なんとかして
 あげよう”って思うんだ。そう言う意味では、くすっ、七咲もはるかと同じなのかもね」

 「学内の噂を色々聞くにつれ、塚原先輩のすごさを思い知るんです。以前、とある
 3年生と僕と七咲がトラブルっぽくなった時に、でも七咲は水泳部だから塚原先輩に
 知れたら大変ですよ、と言ったらそそくさと逃げていきましたし」

 「え? なに、その話。七咲から聞いてないけど」

 「ああ、実はこんなことがありまして……」

 ……

 「ふうん、そうなんだ。私の名前を聞いて逃げていったって言うのはあまりいい気分
 じゃないけどそれで橘君と七咲がうまく切り抜けられたんだったら、まあいいか」

 「すみません、どうにもしつこくて……」

 「ふふ、いいよ。気にしてないから」

 「それで、その一件も含めて、塚原先輩はすごいなあ、と」

 「うーん、周りが思ってるほどじゃないんだけどね」

 「そうですか?」

 「うん、ほら、私はこの通り強面だから、1人でいると結構浮いちゃうんだ。
 それだけでもパーフェクトにはほど遠いと思うよ」

 「そ、そんなことないと思いますよ」

 「料理だってあまり得意じゃないし、他にも橘君が知らないところで色々とね」

 「僕が知らない塚原先輩……」

 「そうだね……そのうち話すこともあると思うから、今日のところは勘弁して
 もらえないかな」

 「あ、ええ、もちろん」


僕の知らない塚原先輩……。
想像つかないけど、いつかもっと親しくなったらその姿を見せてくれるのかな。



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