アマガミ 響先輩SS 「あまがみ」



 「(あ、塚原先輩だ)」

 「(相変わらず気になる髪の毛だよな……)」

 「(よし、今日もポニーテールに触らせてもらおう!)」

 「塚原先輩」

 「え? あ、橘君」

 「今ちょっといいですか?」

 「大丈夫だよ。どうしたの?」

 「えっと、また先輩の髪の毛に触りたいな……って思って」

 「くすっ。また?」

 「はい。なんだか癖になっちゃいそうです」

 「そんなに楽しいものなの? ……まあいいわ。それじゃあ」

 「屋上ですね?」

 「うん」

 ……

 「はい、どうぞ」

 「それじゃ、早速……」

 さわさわ

 さわさわさわ

 「……」

 「塚原先輩」

 「な、なに?」

 「なんだか耳のあたりが赤いですけど、どうかしました?」

 「え? な、なんでもない……よ。きっと寒いからじゃないかな」

 「そうですか」

 「(でも、寒くて赤いって感じじゃないんだよな……)」

 さわさわさわ

 さわさわさわさわ

 「(ああ、やっぱりポニーテールを触っているとうなじが気になるなあ)」

 「(つ、塚原先輩はあらかじめ言えば触ってもいいって言ってたよな)」

 「(どうしよう…… ああ、でも指をはわせてみたい)」

 「塚原先輩、その…… うなじを触ってもいいですか?」

 「え、う、うなじを?」

 「はい……。ダメ、ですか?」

 「どうしても触りたい?」

 「あ、できれば……」

 「もう、そんな子犬みたいな目で見られたらダメって言えないでしょ?」

 「そ、そんなつもりはないんですけど」

 「……ふふ、ちょっと待ってね。すぅーーーーーはぁーーーーーー。
 うん、い、いい、よ」

 「ありがとうございます。それじゃ……」

 つつーーっ

 「……っ」

 「うなじのラインがきれいだなあ……」

 「そ、そう? も、もういいかな?」

 「あ、も、もう一度」

 つつーーっ

 「……っっ。ふぅ」

 「(なんだかさっきよりも耳が赤くなっている気がする……)」

 「(うなじもほんのりと赤くなってきたぞ……)」

 「(…………)」

 ぺろっ

 「はぅ」

 はむ

 「……んんっ」

 はむはむ

 「た、橘君。そんなところ舐めたり噛んだりしちゃ……ダメ、だよ……」

 「あ、す、すみません。ほんのり赤くなっていたから……つい」

 「……はぁはぁ。びっくりした。つい……って、それ説明になってないよ」

 「ご、ごめんなさい」

 「もう、なにかするときは前もって声をかけてって言ったよね?」

 「はい……。でも、朱に染まったうなじを見て理性が衝動を抑えきれなかったんです」

 「……ふぅ、困った子だね」

 「すみません……」

 「まったくもう、そんな捨てられた子犬みたいな目をしないの。怒れなくなっちゃう
 でしょ?」

 「はい……」

 「はぁ……。そうだね……髪の毛をいじるとか、うなじを触るとか、耳たぶをつまむ
 とか、そう言うのは……まあいいけど、なめたり噛んだりするのはとりあえずなしね」

 「はい」

 「ひ、人に見られたら恥ずかしいから…… ね?」

 「あ、それじゃ、もし人に見られないような状況だったら……、その……
 ちょっとくらいなめたり噛んだりしてもいいってことですか?」

 「え……。そうね……もしそんな状況になったら……ね」


 塚原先輩のうなじを甘噛みした。
 塚原先輩の反応があまりに可愛くて、思わず抱きつきそうになった……なんてことは
塚原先輩には内緒にしておこうと思う。
 人に見られない二人っきりの状況……うーん、次のチャンスはいつだろう。



アマガミSSのページへ戻る