上り電車 −ちひろのつぶやき−


  電車がゆっくりと動き出す 僕とちび椎那を乗せて



  いつも乗る帰りの電車のこの車両には 他に2〜3人の乗客がいるだけ

  時間が遅くしかも登りと言うこともあって 大概はこんな感じだ


  ボックスシートには 隣に荷物を置いた僕と

  胸ポケットから出て 窓際に腰掛けるちび椎那


  今日も 僕とちびしいのおしゃべりタイムが始まる



  話の内容は とてもたわいのないことから時事問題まで色々

  笑ったり怒ったり困ったりしょぼくれたり くるくる変わる表情は見ていて飽きない


  その日起きたことの報告は 早いときは2駅も経たないうちに終わるから

  あとはその時次第で過ごし方は色々 これも結構楽しい


  今日は窓の外を じっと見てるみたいだ



  窓に顔を押しつけて なにを熱心に見ているんだろう?

  ともかくその姿はとても愛らしいし コケティッシュでもある


  しかし 窓ガラスにほっぺたをむにゅって押しつけるメイドロボは

  そうそういないんじゃないだろうか?


  なに見てるんだろう? 邪魔するのも悪いけど気になるな…



  ちょっと考えてから 僕も同じように窓ガラスに顔を押し当てて外を見てみた

  端から見るとかなりみっともない と言うかあやしげな状況だと思う


  じーっと ちびしいと同じように窓の外を眺める

  特に面白いものがあるわけでなし なに見てるんだろう?


  仕方ないから 聞いてみることにした



  「特になにかを見ていた というわけじゃないんです〜」

  これがちびしいの答え ちょっと意外


  「強いて言えば〜 流れていく景色です〜」

  どうやらぼーっと外を見ながら 今日あったことを整理していたようだ


  そんなところまで 僕に似なくてもいいのにな



  ペットが飼い主に似る と言うように

  メイドロボットも マスターに似てくるものらしい


  四六時中そばにいて クセとかを見ているんだから

  当たり前と 言われればそうなのかも知れないけど


  僕とちびしいの場合 どっちがどっちに似てきたのか区別が付かないことも多い



  一つだけ言えるのは ちびしいがいて 僕がいて

  お互いがお互いを刺激しあってる それだけは間違いなさそうだと言うことだ


fin991105
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いきなり番外編です(笑)
黒曜石さんが伝言板に書かれていたので ちひろの視点での
ちびしい日記を書いてみました。
ほのぼの…し損ねた感じですね(^^;
なかなか難しいです。

20000320 奈落より再録






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