「セリオ、買いました３ 〜ディープな趣味？〜」
ｂｙ◆ChibisA2
チャットでのこと。
ある知り合いがこんなことを言った。
「やっぱ、これからは裸割烹着ですよねー。これ最強」
はだか……割烹着！？
「はだエプも萌えますけどね、みんなやってるじゃないですか。はだランって手もある
けど、ちょっと危険な香りがするし」
はだラン――裸ランドセルは、それはそれで萌える気がするんだけどなあ。
なんて言うか元の体型とランドセルから連想される体型とのミスマッチがいいと
思うんだけど、そう反論したら１秒で却下された。
知り合いの割烹着への執着は生半可じゃないらしい。
「はだランは似合うキャラがすればいいんですよ。ちびセリオにでも背負わしてなさいっ
てところです」
おいおい、そこまで言うとはだラン愛好家から文句言われるぞ。
「だから裸割烹着。誰もやってないだろうからレア度高いですよ」
確かにそうだけどなぁ。
「そこはそれ、ダマされたと思ってやってみなくちゃ」
まあ、ねえ。
「やった暁にはデジカメで撮ってウプして下さいね」
それが狙いかっ。
オレは苦笑しつつ、誰が見せるかい、と返事をしおやすみを言ってチャットから落ちた。
割烹着かぁ。
どこに売ってたっけかな……
次の休み。
セリオと一緒に買い物に行った。
結局、セリオに探して貰うのが一番早いと気づいたからだ。
セリオは迷いもせずデパートの服の売り場に直行し、いくつかの候補を示した。
割烹着と言ってもデザインや色のバリエーションがあるらしい。
ちょっと驚いた。
オレは自分が持っている割烹着のイメージ――白で腕のところがふわっとした感じに
なっていて、背中でとめるタイプを選んだ。
要するに、オレがガキの頃にばあちゃんが使っていた割烹着だ。
これをセリオが着たらどんな感じなんだろう……
想像してみたが、ピンと来なかった。
「でも〜 なんで急に割烹着なんですか〜？」
ちびすけ――ちびセリオがオレの頭の上でそんなことを言った。
最近ちびすけはオレの頭を定位置としているのだ。
始めは抵抗したが、どうにもお気に入りらしいので、そのままにしている。
すれ違う人がたまにクスリと笑うのが気になるが、まあいいだろう。
「んー？ まあ、なんとなくだ。いつものエプロンばっかりじゃ飽きるだろ？」
主にオレがな、と心の中で付け加える。
「そうですね〜 新鮮味が薄れますよね〜」
わかってるんだかわかってないんだか。
とにかくちびがそんなことを言う。
「――わたしは今までのものでも構いません。目立つ汚れもありませんし、生地も
くたびれていません。このお金はマスターのシャツの購入に回した方が良いと思います」
セリオが控えめに言う。
まあ、現状を判断するとその通りだけどな。
オレは適当にごまかし、セリオにレジに行くように言った。
裸割烹着か……
さて、どんな感じなんだろうな。
家についてひと休み。
ＴＶを見たり雑誌を読んだりしているうちに夕方になった。
ああ、なんて贅沢な時間の使い方なんだろう。
あっという間に夕飯の時間になり、セリオが買ったばかりの割烹着を袋から出して袖を
通し始めた。
オレはそこで待ったをかけ、セリオにはだエプをして貰うときと同じように割烹着を
素肌に直接着て貰うことにした。
「――承知しました」
セリオは二つ返事で承諾すると、着ていた服を脱ぎ始めた。
セーターを脱ぎ、スカートを降ろし、シャツを脱ぐ。
ブラ越しに形の良いバストが自己主張し、くびれたウエストがそのバストの大きさを
引き立てている。
ヒップはキュッと上がっており、見るものを魅了するような曲線を描いていた。
そのヒップから伸びる脚のラインもよだれもので……っていつも見ているんだから少し
は落ち着け。オレ。
それにまだ割烹着云々の状況じゃない。
セリオはそんなオレの考えなど関係なく、ブラのフォックを外しきれいな形をした胸を
晒した。
美乳って言うのはこう言うのを言うんだろうなぁ、としみじみ思う。
そしてショーツに手をかけ躊躇せずに下まで降ろした。
んー、もっとゆっくり脱いでくれた方が焦らされる分いいんだけどなぁ。
すっぽんぽんのセリオは割烹着を広げると、袖に手を通した。
手をゴムですぼまった袖の先からスポッと出し、背中の２カ所についているひもを
キュッと締める。
裸割烹着姿のできあがりだ。
さあ、どうだ？
「――エプロンに比べて少しゆったりとしています」
セリオはそんな風な感想を持ったらしい。
確かにそうだな。
胸もエプロンほど際だってないし、そもそも袖があるから横乳が見えないし、脇から
手を差し入れることも出来ない。
これはかなりのマイナスポイントだ。
背中も肩胛骨の内側まで隠れてしまう。
まあ、この辺は致し方ないだろう。
なにせ割烹着って言うのは、炊事の時に着物を汚さないようにするものなんだから。
調べて初めて知ったんだけどな。
お尻のあたりはエプロン並みに開いているから、かわいいお尻とその割れ目がばっちり。
ま、許せる範囲だな。
「セリオさん、主婦って感じです〜」
ちびすけがそんなことを言う。
そう言われればそんな感じがする。
日本のお母さんって昔はこんなだったらしい。
エプロンの時のようなスケベさはあまりなく、むしろ暖かいというかそんな印象だ。
この辺は人によりけりだろうけどな。
「――似合いますか？」
セリオが自分の格好を気にするように言った。
うん、これはこれでいいと思う。
オレの誉め言葉を聞いたセリオはちょっと照れているように見えた。
「――では、夕飯を作りますね。その間にマスターはお風呂掃除をお願いします」
ほいほいほいっと。
働かざる者食うべからず。
うちのセリオおねーさんは、そう言うところは厳しい。
ちびすけを頭に乗っけたまま風呂場に向かう。
さささっと手早くフロを洗い台所に戻ってくると、セリオが煮物をしているところ
だった。
まとめ上げられた髪。
細く白いうなじ。
割烹着の間から見える、背中のライン、お尻。
むむう。
これは後ろから抱きつくしかないか？
んー、でもこうなんか抱きつくって言うあれでもないような……
「今抱きつくと〜 いつもの二の舞ですよ〜」
ご丁寧にちびすけが警告してくれる。
確かに今抱きつくと包丁の切っ先を突きつけられるのがオチだ。
夕飯終わるまで待つことにしよう。
夕飯済んで食休みも済んでまったりモード。
ＴＶにはトーカ堂のＴＶショッピングが流れている。
北さんかぁ、この人も長いよなぁ。
アシスタントはいつの間にかセリオだし。
セリオがジャパネットたかたとかトーカ堂で通販されたときはびっくりしたが。
まさかアシスタントとはねえ……
つーか、アシスタントセリオツッコミ厳しすぎ。
北さん絶句してるじゃないか。
「――マスター」
ＴＶに見入っているオレにセリオが控えめに声をかけた。
ほいほい、なんじゃらほい？
「――しないんですか？ いつもならそろそろお求めになるのに」
あー、そういや忘れてた。
「あう、珍しいです〜 なにか悪いものでも食べたんじゃないでしょか？」
ちびが
酷い言われようだ。
まあ、そう言う気分の時もある。
「明日は雪かも知れないですね〜」
人を性欲の権化見たく言うなっ。
「――なにか気に障ることがありましたか？」
う、う、う、セリオまで。
そんなに気になるんかい。
そんなにエッチじゃないオレはおかしいか？
「だって〜」
「――マスター、ですし」
く〜。
いやな、セリオの後ろ姿見て、なんとなくうちのばあちゃん思い出して、それでする
とかしないとかそんな気分じゃなくなっちゃったんだよ。
それだけなんだよーっ。
「――残念です。結構気に入ったのですが……」
あー、普段普通に料理するときは着てもいいから。
済まなさそうなセリオにフォローを入れる。
だからおまえが悪いわけじゃなくてだな。
うー、今晩チャットであいつを詰めるの決定。
そもそも裸割烹着なんて言い出さなければこんなことには……
「そしたら〜 こんなのはどうでしょ？」
ちびの声のする方に視線を移す。
のわっ、おまえなんて格好を……
ちびはいつの間にか服を脱ぎ、素っ裸の状態で背中に大容量バッテリーパックを
背負っていた。
通称「ランドセル」と言われる、形と色までランドセルそっくりな、開発者の趣味が
わかってしまう代物だ。
要するに、まんまはだラン状態。
「はだランさんって、こんなのですよね〜？ これで元気出るでしょか？」
うんうん、出る出る。
出るから、つーかもう出たから、早く服を着なさい。
変な気を起こす気はないから。
起こしかねないし。
「はい〜」
素直にランドセルを降ろして服を着るちび。
セリオはそんなちびを、あごに人差し指をあて小首をかしげながら見ていた。
その日の夜のチャット。
裸割烹着を提案した知り合いをとっつかまえて文句を言ってやった。
「えー、そうですかー？ オレだったらその場で襲いますよ」
そりゃあおまえは根っからのスケベだからなぁ、と入力しかけたがさすがに送信するの
はやめておいた。
「やっぱりあれかなぁ、なかなか人には理解して貰えない、高度な趣味なのかなぁ」
そうかもな。
かなり高尚な、言い換えればマニアックな趣味だと思うぞ。
検索かけたら意外にヒットしたけどな。
「美汐たんなら間違いなく割烹着が似合うんですけどねえ。ましてや裸割烹着ならよだれ
ものだと思いますよ。美汐たん仕様のセリオ、でないかなぁ。内臓売ってでも買うのに」
そういやコイツ、美汐萌えでもあったっけか。
美汐なら確かに似合うかもなぁ……
外見も中身も美汐そっくりなセリオを想像。
その美汐セリオに小一時間問いつめられている知り合いの姿が浮かんで、思わず吹き
出した。
fin
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たわごと
即興支援ＳＳです。
うまく落ちなくて美汐を借りました。
美汐ファンの皆様、すみません。
決して美汐がおばさん臭いとかそう言うわけじゃなくてですね（苦笑）
そうそう、美汐ＳＳと言えば、某お方の書いたデパ地下に行く話が
お勧めです。
ご存じない方はぜひに。
とお茶を濁して逃走。