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なみきみち

 
秋も終わりに近づいた そんなある日

坂の上のおじいちゃんのところへ 髪を切りに出かけました
 

お医者さんで言えば 往診にあたるこのサービスは

身体が弱ったりケガをしたりで お店まで来れないお客さんのためのもの
 

今日は 坂を下りるのが辛くなってきたおじいちゃんのために

道具を片手に 出かけます
 
 
 

車を使って行くことも あるのですが

今日はなんとなく 歩くことにしました
 

尾根道へと続く ちょっときつめの坂を

ゆっくりゆっくり のぼっていきます
 

ぽかぽかとした小春日和の日差しに 涼しげな風

ホッとするような そんな心地よい陽気です
 
 
 

坂を上りきると そこは尾根道

大きく茂るイチョウ並木が 見えてきます
 

奥に向かって並ぶ樹々の下には 舞い降りた葉っぱたち

まるで 黄色い絨毯のようです
 

その 大きなアーチと黄色い絨毯の先に

わたしの向かう おじいちゃんの家があるのです
 
 
 

並木道と言っても そんな大きなものではなくて

せいぜい100mくらいの長さ なんですけどね
 
 
 

イチョウ並木の大きなアーチの下を歩きながら 空を見上げてみます

色づいたイチョウの葉 その向こうに見える高く青い空
 

…ところで 一体この並木はいつからあるんでしょう?

わたしがマスターのところに来たときには もうあったから…
 

木々の大きさを考えると ずいぶん前からあるように思えます

はて マスターに聞けばわかるでしょうか?
 
 
 

そんなことを考えているうちに 並木道を抜けました

おじいちゃんのお家は すぐそこ
 

あ そうだ

おじいちゃんに 並木道のことを聞いてみましょう
 

きっとなにか ご存じでしょうから
 
 
 

……

……
 
 
 

用事も済んで 帰り道

おじいちゃんが子供の頃からあるという並木道を 歩きます
 

並木道の由来はわからなかったけど

おじいちゃんの笑顔がとても印象的でした
 

  「子供の頃は格好の遊び場でよ。楽しかったなぁ。あの頃は」
 

fin991114


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