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あきざくら


 
 
車は 南の町へ向かって走っています

尾根道を削って作った太い道を 南に向かっています
 

その昔 車だけが走るために作られた道路

でも今は 歩くこともできる「道」になっています
 

道ばたには ススキやイチョウ

色づいたイチョウの葉が 秋の深まりを感じさせます
 

車の中には わたしとマスターとそして……
 

「いやー 助かった」

「そうですねえ」
 

そして 元気なおじいさんと優しそうなおばあさん
 

お二人は 南の町の息子さんのお家に向かう途中なんだそうです

なんだか急いでいる様子です
 

「いつもは息子に迎えに来てもらうんじゃが、今日は連絡が間に合わなくてなあ」

おじいさんが 苦笑いしながらそう言います
 

「だから言ったじゃないですか。バスはあるんですか? って」

仕方ないなぁと言う感じで おばあさんがそう言いました。
 

南の町に向かうバスは 一日に数本

乗り損ねると しばらく待ちぼうけになります
 

おじいさんとおばあさんは 待ちきれなくて太い道路でヒッチハイク

そこにたまたまわたしたちが通りかかった と言う訳なんです
 

でも そんなに急ぐ理由ってなんなのでしょうか?
 


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