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               つねもりさんちのあくまき作り

                −小林高校三六会ミニ同窓会ー

  今年は三六会仲間十数名が会長の常森氏宅で
灰汁巻(あくまき)作りをした。 といっても前段階の
準備はすべて常森家や近隣同窓生の奥さん達で
我々はビールを飲みながら火を炊き、出来た作品を
山分けしただけである。 
  あくまきとは元は薩摩、大隅、日向など南九州で
兵糧として作り出されたもので、豊臣秀吉の朝鮮侵攻や
関が原の戦いの時に薩摩の兵士が携帯したとの説がある。
 江戸時代以降は端午の節句の頃に各家庭で作った
菓子の一種との事である。 郷里では「ちまき」とも言うが
一般には「ちまき」はうるち米、あくまきはもち米から作る
となっている。 童謡にも「柱の瑕はおととしの五月五日
の背比べ粽(ちまき)食べ食べ兄さんが測ってくれた
せいのたけ」とある。 今では自宅で作る人も少なく
なったが、それだけに作る家ではそれぞれの秘伝と
こだわりがあるらしい。 今回は常森家のあくまきの準備、
道具、レシピの紹介をしたい。(20170420)

 
1.準備は一年がかり
・3月ー4月  山から樫、山桜等堅い木の切り出し、薪割り、乾燥。→ 与作は木を伐るヘイヘイホー
・6月     竹林で竹の皮拾い。 孟宗竹の皮(大判)を陰干しで一年乾燥  
・12月ー2月 薪を暖炉で燃やして暖を取りながら木灰をためる。 昔は囲炉裏
         薪にはガストーチで火を付けクリーンな灰を目指す。 紙等決して燃やさない。
         一冬であくまき300本程度が作れる量の木灰が取れる。 

2.手作りの道具  毎年使える
・木灰汁絞り器   一斗缶の底に細かい穴を多数あける。
・大鍋 ドラム缶を半分にガス溶接器で切断、一回で100本作る事ができる。
     これを二つ用意して一回で200本作る。 →皆で山分けを可能にする
・落としブタ 厚手の板で大鍋にあわせて作る
・大鍋専用かまど  ドラム缶の残り半分で炊き口を切り込む。

3.事前準備
・十日前  竹の皮を水に浸す。 柔らかくなるまで5−6日かかる
・三日前  用意した一斗缶の底にワラを敷き、その上に厚めの木綿布巾を敷き灰を手で押詰める
       下に容器を置き灰の上から熱湯を注ぐと黄金色の灰汁がゆっくり落ちる。 二日位かかる
       溜まった灰汁を布で漉してきれいな黄金色の原液をつくる。→ 味の決め手は灰汁
・一日前  竹の皮を洗い両端を切り整形する。 あくまき一本に皮一枚
       もち米を洗い灰汁に一晩浸す。 灰汁は原液を薄めるが、この灰汁の濃さが秘伝とか。
       もち米は自家田んぼで生産したもので籾を三日前位に精米しておく →こだわり

4. 当日 
・灰汁に浸していたもち米をざるで水切りし一時間位放置
・竹皮に一カップ(一合)のもち米を包む。  括りは三ヶ所ゆるすぎず、きつ過ぎず
       もち米が水を吸っているので八升の米から100−110本できる。
・もち米を浸した灰汁を大鍋で沸かし、一度に百本のあくまきを入れて落し蓋をして4−5時間炊く。 
       薪が一輪車に三台位必要
・一時間毎に一個取り出して様子を見る。 灰汁が薄ければ加え、濃ければ水で薄めて調節 
     灰汁の強アルカリで澱粉の糊化と色づきが進む。 アミノカルボニル反応と言うらしい。

5.食べる
  木灰の強いアルカリ性により、あくまきはアルカリ食品でミネラル豊富な健康食品の由。 
  食べ方は細い竹の皮又は糸で適度の大きさに切、砂糖、きなこ、醤油など好みで食べる。 
        わさび醤油で食べるとうまい(大船庵)
  日持ち・賞味期限は常温7−8日、冷蔵庫12−13日という。 
        長期保存なら冷凍して食べるとき電子レンジでチンするのも良い。 

灰汁を収集する事 二日間 大鍋で炊く事4−5時間 好みもあるが少し軟らかすぎか

あとがき
あくまきは4−5月頃田舎に帰るとスーパーや道の駅売店などで300−500円位で買えるが、何とも
手のかかった食べ物である。 これでは自家製が少なくなるのも当然だが、最近は季節になると
家庭用として灰汁をペットボドル(1.5リットル程)に詰めて売っている由。 又完成品は商業化して
作っているとの事である。