大船雑記へ

旧友の本

 友人の針貝邦生君とは高校時代、六十余年前共に学んだ仲間である。 彼は文系に進みインド哲学を専攻して学者の道を選び、大学で教鞭を取ってきた。 小生は理系に進み、電気通信工学を学び、卒業後は商社に勤務する普通のサラリーマンとなった。 現役時代には全く交流もなかったが、定年後は時々同窓会で旧交を温める仲となった。 

 此度、彼が現役時代や定年後に専門誌に寄稿したもの、書き溜めた論文、17本余を一冊の本に纏めたいと相談を受けた。 勿論小生は出版社でないが、近年始まった電子出版に手を染めている。 定年後学んだ古文書解読により、江戸時代の写本を現代文に訳して出版するもので既に数冊に及んでいる。 

 彼からメール添付されたA4ワード文書や写真を一冊の本に纏める事になる。 合計20万字に及ぶもので、四週間程かかり、B5版二段組、236頁の本に纏めて表紙をデザインして製本にこぎ着けた。
 
 本の題名は「蝶と蛾のサンスクリット学名解説」である。 十章にわたり本論が述べられ、追加七章からなる関連随筆で構成されている。 彼は元々少年時代から蝶の収集に趣味を持っていたが、大学の研究生時代に蝶の学名がサンスクリット語に由来している事を発見したようである。 この本は500種以上の蝶の学名解説とその由来が書かれている。 これは蝶や蛾に趣味がない人には多少退屈な事であるが、由来解説にはインド古典や神話の挿話が数多く収められ、これは門外漢でも面白い。
 又本書には巻末にサンスクリット語の索引があり、これは専門分野の人には非常に有益と思われる。
(大船庵記す)

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