2001.12.26

外資系で働くということ

外資系というとなんとなくいいイメージがあるようだ。自分も去年の初夏に外資系に転職したのだが、その前に漠然とした外国人と働きたいというあこがれがあったのも事実だ。でも外資系というのはやはり独特の雰囲気と仕事の仕方があり、向き不向きがあると思う。これから転職して外資系で働きたいんだけど、自分にはあうかどうか不安に思う人も数多くいると思うのでそんな人の役に立てばと思っていくつか気づいた点をまとめてみた。ただし自分の会社はヨーロッパ系なのでアメリカとかアジアの会社はまたちょっと違うかもしれない。

給料
今の会社は年俸制だけど、これは会社によって違うかもしれない。グレードが低い人は時間制で残業がつく人もいるかもしれない。いずれにせよ、日本のように組合とかはないので自分で何とかしない限り給料が自動的にあがっていくことはない。逆に年俸制で評価がはいっていると、え。こんなにあがっていいの?ってぐらい給料があがったりする。日本の会社だと管理職にならない限り得られない給料が、外資系ではそれぞれの専門職の専門性に応じた形で給料があがっていくことになる。ということで日本の企業のように教育してキャリアパスを作ってジェネラリストにしようなんて考えはさらさらない。若いうちは日本の会社で研修をうけることをお勧めする。ただ日本の会社だと無理して働いてるな可哀相。。って人もいるので、こういうまじめな人は実は外資系にいってそれなりの給料をもらって幸せにいきるほうがいいのかもしれない。
福利厚生面を気になる人もいると思うが、OO手当てってのは存在しないが、健康保険にも入れるし、財形とか持ち株制度とかもあるし、生協と提携していてわりと安くホテルにとまれたりはする。でもさすがに寮とか社宅はない。

休み
休みに対する考え方は大きく違う。日本人にとって休みは義務だが、外国人にとっては休みは権利だ。日本の会社だと休みはほんとに休みずらい。休みをまとめてとろうとすると、OO君そんなにやすむの?とかいやみの一つも先輩にいわれることは必至だ。外人は違う。バケーションシーズンがくるとみんな休みの話しかしない。自分は何ヶ月どこにいくとか、何をしようと思ってるとか、きいてないよ。って感じだ。しかも大量に休む。2週間は常識、3〜4週間ぐらいは普通だ。そんなに休んで仕事はとまらないの?って日本の会社の感覚だと不思議に思うことだろう。はっきりいって仕事はとまる。でも仕事がとまったからってほんとに困って会社がつぶれるなんてことはまずない。まてばいいのだ。日本の会社の場合、この企画をとおすには部議にかけて、資料をなおして、所議にかけて、さらに直してってだんどりを踏むために、えらい人のスケジュールをおさえて何日も前から用意してってすごーーーく時間がかかる。だから休むっていうのはそのレールをはずすすごい逸脱行為だ。でも実は困るのはそのレールをはずすからであって、ほんとに困ることなんてなにもない。個人的には心配性なのと最近一緒に遊ぶ友達もへってきたので、長期休暇はとらないが、南の島でぼーっとするのはどうかとも思うが、本を読んだり、絵をみにいったり、普段はできないことを仕事を忘れてじっくり考えてみるのはいいことだと思う。それに会社のための仕事ではなくて、自分のための仕事であることを考えれば休むのはやっぱり当然の権利だと思う。

飲み
仕事上の飲みのつきあいは日本会社の特徴だが、外資でも飲むことは結構ある。でも金曜日にやることはまずない。金曜日はプライベートな時間だし、やってもあまりこないからだ。でも平日やればみんなくる。じっさい日本にきてるEXPATなんて友達も少ないだろうし、日本人と一緒にいっていろんな日本料理をたべて日本の話をきけるんだから、きてももっともだ。ヨーロッパ人は体がでかく、底無しに飲む。小さいころからビールを水みたいに飲んでるんだから飲むのがきらいなわけはない。日本人と飲んでるのとの一番の違いは、飲んでるときは仕事の話をあんまりしないことだ。彼らは政治の話とかが、映画の話とかが好きだ。
あと飲み会の設定は、日本の会社では入社3年目ぐらいまででもっとも苦労することの一つだ。私なんて派遣の女の子に来てもらうために30分ぐらい電話でねばった記憶がある。(^^)。あとぬるいビールじゃなきゃ飲めないなんて、わけのわからない部長もいた。想像するに、日本の会社ではこれを、みんなと仲良くなって、あるイベントをオーガナイズするという仕事の一環的なとらえかたをしているんだろう。実際いろんなことを企画したり、ホテルで会場を押さえたり、エンタテーメントしたりというのは役に立つのかもしれない。先輩や同僚と苦労をわかちあってその後の友情が芽生えたりもする。外資ではこんなことはまったくない。秘書っていうすばらしいお仕事の人がこういう雑用はなんでもやってくれる。

仕事の仕方
外資は一日のサイクルがちょっと違う。日本だと朝電話して、あとメールの返事書いて、午後から会議が入って、夕方資料作って明日の準備して終わりって感じだと思う。外資の場合時差を考えなければならない。朝来るとメールの返事がたくさんきてる。そこで朝はメールの返事をひたすら書く。午後から会議があって、夕方資料作ってってのは同じだけど、このあとメールの返事が気だしたりして、エンジンがさらに入ってくる。さあかえろうっていうと、今度は電話かかって来たりして日本の場合昼が山だけど、向うの場合夜が山でそういう意味ではあんまり気の休まる環境ではない。大体飲んでるときかかってくる発番号のない電話は海外からの緊急の電話だと思っていいのでびくびくすることになる。
会議もちょっと違う。日本の場合資料なしに会議に臨むことはまずない。よくいうが根回しが事前にされていて、会議はオーサライズの場ではあるが、議論の場ではない。外資では会議はみんなで話し合う場だ。電話会議のときは事前に資料を用意しておくことをすすめるが、そうでないときはみんないきなりはくばんに絵をかきはじめる。ばしばし意見をいう。というわけで議論のできない人には外資系は向いていないかもしれない。
マネージャーと自分の関係は非常にフラットだ。このへんはうちの会社の特徴なのかもしれないが、仕事を強制されることはあまりない。なにかを頼むメールが来るときは、もし不満があったら教えてくれということわりがきがまずついている。あとえらい人が権力をもっているわけではなく、プロジェクトマネージャーとかプロダクトマネージャーとかあることがらについて権限を持っている人が、みんなから信頼を最も得ている人がえらい。自分が正しいと思ったら、社長とはいえ意見するんではないだろうか。ある意味この仕組みはやりやすくて、日本みたいに稟議書とか会議にかけなくても、こいつと仲良くなってこいつを押さえておけば大丈夫っていう仕事の仕方ができる。でももちろんこういう人間の信頼を得るには自分もそれなりに信頼されていなければいけないなのはいうまでもない。

英語
よく技術があれば英語はいらないなんていうが、それは嘘だ。英語のできない人は外資にこないほうがいい。95%は英語をはなすことになる。英語のできない人は頼りにならない日本人としか仕事ができないし、本社と交渉して影響を与えることもできない。技術があれば英語はいらないっていうのは、あなたが一生カスタマーサポートでお客さんの苦情処理とかトラブルシューティングをしたいときだけだ。
英語以外にも他の言葉をしゃべれたほうがもっといい。本社のある国の言葉をしゃべるのがトップにいくには必須だろう。実際、自分のまわりのEXPATには9カ国語しゃべるなんてのもいる。言語の習得には才能はいらず努力だけなので、英語ぐらいはマスターすることをお勧めする。