|

|
|
ファシリティマネジメント用語集
|
|
概要・日本建築学会提供 |
この用語集は、ファシリティマネジメント(以下FM)の分野に関連すると思われる用語から代
表的なものを選び、簡単な説明を加えたものです。用語はアイウエオ順に掲載し、これらの
日本語訳と説明は建築学会高度情報化社会研究小委員会FMワーキンググループで検討された
ものです。この用語集の試みに対して、また、説明内容について多方面からの御意見をお待
ちしています。作業にあたり末尾に掲げる文献をはじめさまざまな資料等を参考とし、また
引用させて戴いたことを記して関係各位にお礼を申し上げます。
|
|
【アウトソーシング】(Outsourcing) |
企業や官庁などが、本来組織内部での業務として誕生したFM業務をインハウスではないFMコ
ンサルタントなどの外部専門家に委託すること。(*14)
|
|
【アトリウム】(Atrium) |
水や緑を利用したビル内の大規模な吹抜け空間(本来は、古代ローマ時代の住宅の中庭を指す
言葉)。ビルの印象を豊かで魅力的なものにするとともに、アトリウムの周囲の空間に採光や
通風の面でメリットがある。
|
【インテリジェントビル】(Intelligent Building / Smart Building) |
知的創造活動にふさわしい、以下のような特徴を有するビル。@高度のOA(オフィスオートメ
ーション)化に対応している。A建築設備を高度化、統合化して機能性、快適性、省エネ、安
全性向上を図っている(ビルディングオートメーション)。B安い回線の自動選択などを含む
高機能なPBX(電子交換機)やLAN(ローカルエリアネットワーク)を装備している。C知的作業
に適した快適な執務環境を持つ。D情報のセキュリティ対策が施されている。貸しビルの場
合は上記の機能を使った高度のインテリジェントサービスが受けられる。または、電子情報
通信ケーブルを施設全体に敷設した建物。一般に、事務所建築でオフィスオートメーション
(OA)を建物全体に拡大し、また、空調、防災、防犯などの建物管理を電子通信網を用いて一
元的に管理できるものをいう。
|
【インベントリー】(Inventory) |
スペース、要員、什器備品などの種類、特徴、数量などの現状を記した台帳とか目録をいう
これらの項目に関する将来の需要を記したものもある。(*3)
|
【FMI】(Facility Management Institute) |
米国の研究財団Herman Miller Research CorporationよりFM専門の研究所として1979年に独
立し、教育・コンサルティング・研究・情報提供などの活動を通して、FMの概念の展開と普
及に成果を挙げた。その論法の多くはPeter Drucker の経営理念を基礎とする。1983年に
David L.Armstrong 所長のもとで、米議会図書館からの要請によりFMの定義を提出したが、
この定義を固定的なものと解釈せず、FMを変化し発展するものとして据えている。1986年10
月の研究所の最終シンポジウムで第3代所長のCecil Williamsは、「いつかはFMを定義し限定
すべき時がくるが、1986年の時点では6歳児をみて人の能力や性格を決定するのと同じだ。」
と発言し、ファシリティマネジャーの職能の確立と地位の向上を目指すIFMA会長David Cotts
と対峙している。
|
【FMサービス】(FM Service) |
施設利用者の業務や生活の利便性を向上させるための業務支援や生活支援を行うFMに関する
各種サービスのこと。
|
【OAシステム】(Office Automation System) |
オフィスの生産性向上、オフィス環境の改善、意思決定の高度化や迅速化などを目的とした
総合的なシステム。一般にオフィスに事務機器、コンピュータ、通信装置などを導入して実
現される場合をいう。システムには、文書の管理、情報の伝達、秘書作業などの事務処理機
能から意思決定に必要な情報を検索、編集する機能まで含まれる。
|
【ORBIT】(Office Research into Building and Information Technology) |
ORBIT研究は、1982年イギリスにおいてDEGW(建築家とスペースプランナー)/EOSYS(OAコンサ
ルタント)/BUS(ビル使用研究会)の3つの団体によって進められ、建物の効率とコストとの関
係を定量化し評価する新しい概念である。最近ではデザイン戦略とビルの性能評価、ビルの
性能と組織の要求との整合性、ビルの性能の過不足の評価などができるように改善されてき
ている。または、組織(Organization)、建物(Building)、および情報技術(Information
Technology)の頭文字を組合せたもので、情報技術の導入に対する建物の適応性を評価する手
法として開発され、英国(1983)、北米(1984)のオフィスビルの評価結果とともに G.Davis,
F.Duffy 等によって発表された。建物の個々の特徴である建物の奥行き、床スラブ間の階高
配線ピットの大きさと位置などをオフィスオートメーションと自動化されたビルディングサ
ービスという新しい情報技術に、建物が対応できる能力に関して開始され、特定の組織や下
部組織に対する様々な建物の適合性を評定するために、コンサルタントでも組織自体でも使
えるような体系的で包括的な建物評価の方法へと展開している。さらに、よりユーザーベー
スのシステムとしてコーネル大学の F.Becker, W.Sims によって開発された ORBIT2.1 へと
発展している。
|
【オフィスランドスケープ方式】(Office Landscape) |
大部屋のオフィス空間を壁等で仕切らずオープンのままで、組織間のつながり、仕事の流れ
に対応して自由自在にオフィス家具を配置するレイアウト方式。1985年にドイツのクイック
ボナー・チームによって提唱され、その後のオフィスに大きな影響を与えた。
|
【CAFM】(Computer Aided Facility Management) |
コンピュータ支援ファシリティマネジメント。コンピュータのデータベース処理・図形処理
などの能力を利用したファシリティマネジメント。データベースには文字・数値ばかりでな
く、図形・画像が含まれる。従来の代表的な利用方法の例として、スタッキング、ブロッキ
ング、インベントリーの作成・管理、建築・設備の維持管理、室内レイアウトなどがあげら
れる。CAFMの機能は、CADD(Computer Aided Design and Drafting:コンピュータ支援設計
製図)の作図機能と密接な関連がある。
|
【グループレイアウトコンセプト】(Group Layout Concept) |
レイアウト計画において、部門や組織単位でのスペースの配置および割付け(ゾーニング:
Zoning)を行う場合の基本方針。
|
【施設需要計画】(FRP:Facility Requirements Programming) |
組織における将来のスペース需要およびスペースの大きさや備品、スペースの配置が人的要
因にどのように影響するか、これらの問題に関係する活動をいう。施設需要計画の目的は、
需要計画として知られているものと同じように、組織の将来の施設需要に関して情報を提供
することである。(*4)
|
【スタッキング】(Stacking) |
多層建築物における各階へのスペース配置計画を行うこと。(*3)
|
【ストラテジックプランニング】(Strategic Planning) |
企業戦略をサポートするために総合的な視野に立った中長期スパンの戦略的なファシリティ
計画。企業のマネジメント方針の具体化と執務環境の維持向上に応じた計画の立案が主な業
務となる。(*8)
|
【スペースアカウンティング】(Space Accounting) |
建物の利用現況を把握すること。室番号・室名、室面積、利用部門名、用途、その他目的に
必要なデータを収集し、データベースを維持し、報告書を作成する。
|
【スペースインベントリー】(Space Inventory) |
スペース台帳。組織および各組織単位が占めるスペースの明細表。ブロック内の職員数も記
されることが多い。インベントリーを使用する時期と目的に応じて、スペースは様々なカテ
ゴリーに分類される必要があるが、まだ一般的なものは見あたらない。また面積の基準を壁
の芯々とするか内法とするかなどの算出方法も明確でない。(*3)
|
【スペーススタンダード】(Space Standards) |
スペース需要面積を算定するため、標準化された作業の種類ごとに必要な家具、什器備品の
構成とそれらが占有するスペースの基準を定めたもの。(スペース配分基準に同じ)
|
【スペース配分基準】(Space Allocation Standards) |
スペース需要面積を算定するため、標準化された作業の種類ごとに必要な家具、什器備品の
構成とそれらが占有するスペースの基準を定めたもの。(*3)
|
【スペースマネジメント】(Space Management) |
短期・長期にわたり、組織の有するスペース全体を効率的かつ経済的に管理すること。
|
【生産性分析】(Productivity Analysis) |
将来の生産性レベルの予測を行うため、従業員一人当りの成果を指標化すること。業務内容
と業務量を想定し、これと生産性レベルをもとに必要な従業員数を求めることができる。(*3)
|
【WES】(Work Environment Scale) |
精神医学者ルドルフ・モースらによって開発された9つの社会的環境評価尺度の1つで、作業
環境に関する評価法である。社会的環境の個人への影響力といった観点から、作業環境を評
価する時に物理的な面だけで見ていると危険であることを示唆している。
|
【チャージバックシステム】(Chargeback Systems) |
個々の部門、グループあるいは個人などに対して、占有する空間の費用や、または、それを
運用し維持する費用を請求する経理システム。
|
【チャーンレイト】(Churn Rate) |
移転率。1年間に職員の移動のあった面積の全面積に対する比率。IFMAでは、移動(職員、機
器、業務の場所が移動)したり変更(改修、新築)したスペースの量を全体のスペースに対する
パーセントで示す。(*1 *3)
|
【ニーズインベントリー】(Needs Inventory) |
要求一覧表。スペース、要員、什器備品などに関する将来の需要内容、要求条件の台帳とか
目録。計画段階では建物の規模検討や面積予測、詳細検討段階ではインテリアプランニング
の評価基準などとして用いられる。(*3)
|
【人間工学】(Human Engineering) |
人間の能力に作業環境や器具を適合させる研究。エルゴノミックス(ergonomics)、ヒューマ
ンファクターズ(human factors)の訳語。人体測定学(anthropometry)の諸成果を規範とする
が、特に、FMの観点からは統合的なチームアプローチが必要である。この立場からIMFA'91
サンディエゴ総会では、マイアミ大学エルゴノミック研究センターM.J.Dainoff 博士が「90
年代のオフィス環境におけるエルゴノミックスの挑戦」と題した発表を行い、その解消に職
員の主体的な関与とマネジメントの努力の双方を必要とするものとして、腰痛の問題を筋骨
格障害(musculo-skeletal disorders)として位置づけ、インダストリアルエンジニアリング
建築デザイン、インテリアデザイン、照明、労働保険および安全、人事管理、研修、リスク
マネジメントの諸成果を導入する必要性を説いた。
|
【パターンランゲージ】(Pattern Language) |
都市や建物の有機的な環境作りのための「言語」として米国のクリストファー・アレキザンダ
ーが提唱した計画手法であり、再現性の高い部分問題の抽出、限定、分析、記述、具体的解
決、記述表現というプロセスから得られたパターンを蓄積し、設計に利用する。また、設計
の問題をユーザー参加により行いパターン群をコミュニケーションのための共通言語として
用いて、それらの問題解決を図る。設計の問題を設計主体から使い手にまで拡張した方法で
もある。(*9 *10 *11 *12 *13)
|
【POE】(Post-Occupancy Evaluation) |
入居後評価。建物が使用状態にある時点の評価で、施設利用者による建物の使い勝手の良さ
を科学的に把握し、施設の評価に結び付けるという考え方、いわゆる「施設評価へのユーザー
参加」の原則が基本になっている。POEにより設計者の意図とユーザーのニーズとの関連が端
的に把握できる。また、POEをPre-Occupancy Evaluation と読みかえ、POE1(Post-Occupancy
Evaluation)とPOE2(Pre-Occupancy Evaluation)の両者を含めた時間的経過の中での一連の評
価が重要とする意見が出されている。両者を併せてP2OEと略記されることがある。(*5)
|
【ファイルメーター】(fm:File Meter) |
書類の量を計測する単位。書類の種類に係わらず積み重ねた総量をいう。
|
【ファシリティ】(Facilities または Facility) |
「施設」、「土地、建物、設備、什器備品」。FMの対象としては次のような様々な捉え方がある
たとえば"物理"的な実体としての「施設」のほかに、"経済"的な概念として「企業の保有する
資産」、"情報"等の抽象的なものとして「施設に関する大量の情報やニーズ」、"人"も含めて
広範囲にとらえて「人(組織)、もの空間」など。単に「施設」という場合でも、以上のように広
い範囲を指すことが多い。空間(スペース)需要の長期計画などでは、FMの対象として時間的
な要素も関係してくる。(*1)
|
【ファシリティマネジメント】(Facility Management または Facilities Management) |
適切な日本語訳はまだない。「施設管理」と訳されることがあるが、適訳とはいえない。この
訳だと「建物や設備を現状に維持管理すること」など、FMの一部の業務だけに限定してとられ
易い。いまのところファシリティマネジメントとカナ書きする。ここではとりあえず代表的
なFMの定義をいくつか紹介しておく。
(1)米国国会図書館に登録されている定義(*1)
「物理的作業環境、そこで働く人、組織活動を有機的に結合させることである。また経営管理
建築技術行動科学、エンジニアリング技術を統合したものである」
(2)IFMA(International Facility Management Association:米国)(*1)
「人間的でしかも効率のよい環境を作り出すために、最も新しい技術的英知をもってマネジメ
ントの実践を行うことである。同時にFMは生産的な業務環境を計画・提供・管理していく業
務の実践である。」
(3)JFMA(Japan Facility Management Association:日本)(*1)
「人々が、生き生きと効率的に活動できるように、建物・設備・備品等の施設(ファシリティ)
を統合的かつ経済的にマネジメントすること。」
(4)FM推進協議会(JFMA:日本ファシリティマネジメント協会、NOPA:ニューオフィス推進協議会
BELCA:建築設備維持保全推進協会)(*14)
「FMとは、企業・団体などの全施設および環境を経営的視点から総合的に企画・管理・活用す
る経営管理活動をいう。」
(5)NOPA(New Office Promotion Association:日本)(*7)
「企業等の全施設および働く環境を経営戦略的視点から総合的に企画、管理、活用する経営的
管理手法」
(6)NEFMA(The Netherlands Facility Management Association:オランダ)(*1)
「大きく変化する社会環境の目的を効果的、効率的、弾力的に進展するために、建物、サービ
ス、それらの付属物(家具等)を総合的に計画し、実施すること。」
(7)建設省FM研究委員会(基本検討部会案)(*1)
「施設の総合的・戦略的な企画・運営を通じて、経営者・施設の使用者の諸要求を社会的・文
化的な資産の整備へと結び付けていく手法・技術である。」
(8)Jefferey M. Hamer著「ファシリティマネジメント」(*3)
「組織のために物理的スペースとサービスを適切に提供するため、計画し、実行し、保守し、
会計計算をし、同時に関係する全体の費用を減らすプロセス。」
|
【不動産ポートフォリオ管理】(RPPM:Real Property Portfolio Management) |
不動産戦略管理。企業などの所有する資産の全体を、特定の目的を達成するために、的確な
手段を用いて総合的に管理すること。
|
【フリーアクセスフロア】(Free-Access Floor) |
床面をスラブから離して浮かせ、床下に配線や配管ができるようにして、任意の場所で線や
管を取り出せるようにした架工方式。一般にコンピュータルームやインテリジェントビルで
採用される。
|
【フリーアドレスオフィス】(Free-Address Office / Nonteritorial Office) |
図書館の閲覧室のように、執務スペースにおいて各座席を在席者で共有する方式。省スペー
ス、スペースや机上面の有効利用、スペースの多様化を目的とするものがある。執務者の在
席率が低い場合に有効である。(*6)
|
【ブロッキング】(Blocking) |
各階での平面配置計画を行うこと。スタッキングプラン(各階への配置計画図)とブロックプ
ラン(各階ごとの配置計画図)を合わせて面積割り当て図(Area Assignment Diagram)という。
(*3)
|
【ブロックスタンダード】(Block Standards) |
部署ごとの面積配分やオフィスをサポートする機能ごとの面積配分を行い、各階での基準と
なる平面配置計画を行うこと。
|
【プログラミング】(Programming) |
プログラミング手法は米国CRSS社によって建築計画の有力な手法の1つとして確立され、現在
では施設総合計画からオフィスインテリア計画、さらには運用管理にいたるまでの様々な局
面での有力なツールとして全米で広く実施されている。設計行為が様々なニーズや問題に対
する回答を具体的にまとめあげることとすれば「プログラミング」とはニーズや問題を漏れな
く正確に整理し、課題として提示することといえる。プログラミングが様々なニーズや問題
を整理し、デザイナーに必要な情報に変換する過程であることから、包括的に漏れなく情報
の整理を行うための進め方や考え方について、CRSS社はいくつかの枠組みを用意している。
これらは、以下の5段階のステップと機能・空間・予算・時間の4つの要素について情報を引
き出し、分析を行うものである。
GOALS(目標):目指すべき目標を討議し、共通の認識を得る。
FACTS(事実):現状を調査し、与条件や各々の立場の意向を集め分析する。
CONCEPTS(考え方):重点方式や優先度などを討議し、解決アイデアを作る。
NEEDS(条件):4つの要素について、要求や制約条件、必要値を整理する。
PROBLEM(課題):デザイナーが建物を設計するための課題を明確な結論としてまとめる。
|
【ヘビーデューティゾーン】(Heavy Duty Zone) |
多種類のOA機器を集中配置するためにオフィスビルの基準階において、照明、空調、配線、
床荷重などが普通よりも高度に設計された空間。
|
【ベンチマーキング】(Benchmarking) |
自社の方式、プロセス、手続き、サービスのパフォーマンスを同じ範疇で抜きんでている企
業に照らし最良の方法を自社に取り入れ改善を行う方法。(*14)
|
【マスタープランニング】(Master Planning) |
全体計画。スペースに対する長期的な要求と、予想される費用の両方を満足させる段階的な
戦略案を用意すること。(*3)
|
【面積係数】(Area Factor) |
一人当りの面積で定義され。一般に部門、課、グループ、階、建物などごとに算出される必
要がある。また面積係数から建物の垂直交通、コア部分、サービススペース、機械室などの
共用部分と構造体を除いたものを実面積係数(Net Area Factor)といい、将来のスペース需要
の算定を比較的ラフに行うのに用いられる(部門の利用可能面積をその部門の人数で割った値
に将来のスタッフ合計人数をかけ算する)。
|
【ユニバーサルプラン】(Universal Plan) |
個別のレイアウトプランをつくらず、最小限の標準的な家具のレイアウトプランを策定し、
組織の改変時に家具レイアウトを変更することなく、ワーカーの移動のみによって変更を可
能とするレイアウトプラン。
|
【LAN】(Local Area Network) |
ローカル・エリア・ネットワークの頭文字。同一のビル内や敷地内などの限られた地域内に
設置した複数台のコンピュータ、プリンター、大容量の記憶装置などの各情報機器、周辺機
器を回線で結んでネットワーク化したシステム。
|
【ライフサイクルコスト】(LCC:Life Cycle Cost) |
建設費、設備費、管理費、運用費、保全費などの施設の生涯にわたって発生する総費用のこ
とで、効率的な費用配分を計画するためのひとつの指標となる。LCCの算定は、施設の使
用途中の費用を価格変動率をかけて最終段階で合計し、それを利子率で割引いて現在価値に
戻して求める。(*8)
|
【隣接度分析】(Adjacency Analysis) |
どの組織単位や職員や機器が互いに近く配置されるべきか、あるいは逆に離れて置かれるべ
きかを決定する検討。隣接度分析はスペース計画において、ある階に、あるいはある階のあ
る位置に様々な設計要素を配置する手段として用いられる。一般に隣接度分析の結果として
CAFMシステムでは相関マトリックス、隣接度ラインダイアグラム、スタッキングプラン、ブ
ロックプランが得られる。(*1)
|
【レコードマネジメント】(Records Management) |
重要データの記録、それらを収めた書類、資料の保存および取り出し利用に関する管理業務
またはその手法をいう。記録媒体(例えば、マイクロフィルム、磁気テープ、磁気ディスクま
たは光ディスクなど)を用いたデータの記録や検索を行うシステムを利用する方法がある。
|
【ワイヤリング】(Wiring) |
配線およびその対策管理をいう。OA化にともなうオフィスでの情報機器類の普及により、配
線・ケーブルの敷設やそれらの位置と状態を保全することが近年特に必要とされるようにな
ってきている。類語として、ワイヤーマネジメント、ケーブルマネジメト、プレワイヤリン
グ(将来の配線計画に備えるための予備的処置)などがある。
|
【ワークステーション】(Work Station) |
一人または複数の従業者グループに対して、その与えられた業務を遂行するのに必要な主要
な場所として用いるスペース、作業能力に関与する家具や機器、照明などをも含めた個々の
空間をいう。特に個々のスペースを間仕切る必要はないが、一般には床上にある特定領域を
規定する。各個人向けの場合と共有の場合がある。情報処理の分野では、個人や小人数で使
用することを目的とした計算機をいう。
|
|
参考文献 |
*1: 日本ビルヂング協会連合会「建設省ファシリティマネジメント研究委員会報告書」1990
*2: 日本ファシリティマネジメント協会「オフィスの施設管理に関する基礎調査報告書」
*3: Jeffrey M.Hamer "Facility Management Systems" Van Nostrand Reinhold Company1988
*3: 沖塩荘一郎・山口重之監訳「ファシリティマネジメント」デルファイ研究所1990(日本語訳)
*4: Computer-Aided Design Group "An Overview of Facility Management" 1985
*4: 「ファシリティマネジメントの手引」デルファイ研究所 1988(同日本語訳)
*5: Wolfgang F.E.Preiser, Hervey Z.Rabinowitz, Edward T.White
*5: "Post-Occupancy Evaluation" Van Nostrand Reinhold Company 1988
*6: Franklin D.Becker "The Total Workplace" Van Nostrand Reinhold Company 1990
*6: 加藤彰一訳「トータルワークプレース」デルファイ研究所 1992(同日本語訳)
*7: ニューオフィス推進協議会「標準業務についての中間報告書」1991
*8: 建設省住宅局建築指導課監修・日本FM協会編「ファシリティマネジメントの実際」丸善
*9: 日本建築学会建築計画委員会「設計方法4設計方法論」1981
*10:Alexander,C."Notes on the Synthesis of Form" Harvard University Press,1964
*11:Alexander,C.el al. "The Oregon Experiment" Oxford University Press,1964
*12:Alexander,C.el al."A Pattern Language whitch generates Multi-Service Center
for Environmental Structure"1968
*13:Alexander,C.el al."A Pattern Language"Oxford University Press,1977
*14:FM推進連絡協議会編「ファシリティマネジメント・ガイドブック」1995
|
|
|