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                          2012年1月2日
  6年程前シルクロードの町トルファンの埃っぽい土産物屋で清明上河図のレプリカを見つけた。 その時は清明上河図が何たるかも知らなかったが、良い絵だし漢文の説明まで付いているので解読して見ようと思って購入した。 帰って色々調べて初めて「清明上河図」というのは中国第一級の絵画で国内でも滅多に公開されない国宝と知った次第である。 漢和辞典と首っ引きで何となく絵の上にある跋も読めたので、「大船庵」に掲載した。 本物を見る機会等一生無いものと思っていたが、「大船庵」上で清明上河図を見た人から展示情報があり、早速初日の1月2日に上野の国立博物館にでかけた。   
  正月二日だし初日なら未だ混雑しないだろう、と思い朝十時ごろ博物舘に着いたら既に200メートルの列が出来ていて驚いた。

入口迄残り100メートルに近づく
  一時間半程寒風に耐え漸く館内に入ったら清明上河の展示室は館内でも長蛇で90分待ち。 今回中国故宮博物院の名品200点が展示され、清明上河以外はゆったりと見学できたので結局長蛇の列は全て清明上河図目当てと云う事になる。 知る人ぞ知ると云う事か、来訪者に中国人と思われる人もかなり多く国内でも中々見る事が出来ないので日本迄遠征した熱心な人達かも知れない。
  最後は硝子ケースに入った縦25cm、横5メートル余の現物をみる訳で、ゆっくりだが止らずに動くので三時間待っても十分も掛からず通過する事になる。当に「本物を見たぞ」と云うだけである。 唯以前から疑問に思っていた跋は絵の終わりに紙を継ぎ足して書いてあり、叉絵の冒頭には矢張り紙が継ぎ足してあるがそこには何も書いてない事が分った。  

入口迄10メートル、浅草の金龍がお祝いに現れる
  公開文物の公式図鑑(北京故宮博物院200選)が販売されており、この冒頭に清明上河図全体と一部の拡大写真もあるので購入する。 
  図鑑の拡大写真と手持ちレプリカと比較して拡大して見たが、やはり本物の決定的な違いは描かれた人物の顔の表情と動作が生きている事である。 僅か身長2cmにも満たない人物を描き、顔など3mm位になる筈だがその表現に圧倒される。 跋でも述べられているが当に神品、神業である。 レプリカでも服装迄はかなり忠実に模写しているが、顔の表情は平面的で動作は形に留まっている。 しかしレプリカも全体的には良くできており、当時の風俗・生活・産業・技術を垣間見る上では十分本物の代替を務める事が出来て面白い。 

博物舘建物の間に634mのスカイタワー

本物とレプリカの比較例

  清明上河図本物「虹橋」の上、図鑑写真より
左端に人品卑しからぬ馬上人あり
。 写真クリックで拡大
   大船庵所蔵レプリカの同じ場所
 同位置に馬上人物あるが表情がない。 
クリック拡大
 同図鑑写真:虹橋下を通過する船、クリック拡大   同レプリカの同じ場所、クリック拡大

本物の分割写真を見る
  
          拡大・詳細をみる   クリック

 
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