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  本来のDIYとは少し趣向が違いますが、遠い昔の記憶をたどって模型を作って見ました(20060110)

昭和20年代の後半、世の中全体が未だ貧しかった時代、南九州の山村で暮らす男の子達の遊び道具のひとつにダシゴロというのがあった。 なぜダシゴロなのか名前の由来は良く分らないが、ダシは山車(だし)、ゴロは愛称のようなものか、と思ったがゴロに愛称を意味することばは思いつかず、ヨッゴロ(欲張り)、ノンゴロ(呑んべー)、ヨダッゴロ(怠け者)等とロクなものがない。 当時は村の交流も無かった郷土の先輩によれば、それはダシゴロではなくダヒッゴロである、ゴロはころで車を意味し、引き車が薩摩弁ではヒッゴロになり、それに荷駄のダがついたと云う説である。そうするとダヒッゴロがダヒゴロになり、ダシゴロと間違って覚えたのかもしれない。

今回このダシゴロの記憶をたどりながらできるだけ忠実に構造を再現し、七分の一の模型を作って見た。 全体は左のような形で、全長80cm巾40-50cm、後輪の直径20cm位だったと思う。 小学生の4、5年生が後ろの板に腰掛け、左右の足を前輪の車軸に掛けて舵を取るようなスタイルである。 
子供達はこのようなものを自分達で作り、丘の上からこの愛車に乗り、転がり下って楽しんだ。 また幼い弟妹の子守りを言いつけられると、この上に箱をのせ其の中に子供を入れて、前輪車軸に縄をつけて引っ張ったものである。 7つ違いの妹が乗せて貰った記憶がかすかにあると云っていた。

今、模型を作って感じるのは、当時の小学生のDIYも相当なものだなということである。 皆、誰かのものを見て、自分も欲しい一心で、見様見真似で作ったものだと思う。 何処も当時の親は仕事で忙しく、ここまで子供の面倒は見ていない。 また道具、材料に関してもホームセンターがあるわけではないので相当工夫したものと思うが、ただお金は全く掛けていないことだけは確かである。
 山村なので、車輪にする丸太には不自由しなかったが、切りだすのが大変でこの辺は年長者に手伝ってもらったように思う。 当時は村で家を作るところも多く、板材、角材などははぎれが簡単に手に入った。 車輪、フレームの前輪の支え棒などの穴をあける道具はT型の両手でハンドルを廻す25mm径ドリルがあった。 車輪が取れないように軸にくさびをつけるが、この穴は真っ赤に焼いた火箸であけたと思う。
 どうしても思い出せないのは前輪車軸と直角に立てた支えの棒をどうやって接合したかである。 模型は簡単だが、実物は結構力がかかる所なので限られた道具で作ることはかなり工夫がいるはずである。
 上記ドリルで車軸の中心に穴をあけ、丸い棒を差し込みくぎ止めし、上は削って少し細くして、フレームの穴で軸が廻るようにしたのかもしれない。

    前面

   側面

    背面

   平面
         パーツ