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                    江戸鼠小僧の実像

   江戸時代の有名な盗賊、鼠小僧次郎吉は金持ちから盗んだ金を貧乏人に与えたという話がある、これは後世の
創作と言われているけれど鼠小僧そのものは実在していたようである。 天保雑記という書物によれば鼠小僧が忍
入った大名や旗本の屋敷名や盗んだ金高、又奉行所による判決文などが記録されている。
   これによると鼠小僧はさる大名屋敷に入り、盗みに失敗して一度捕まり入墨所払いの刑を受けているが、その後
江戸に舞い戻り再び盗みを重ね、再度捕まり市中引回しの上獄門となった。
   判決文によれば最初に捕まるまでに28ケ所(屋敷)、32回盗みに入り、その後更に71ケ所(屋敷)90回盗入り、
前後10年間合計で99ケ所、122回盗みに入っている。 被害に遭った90ヶ所以上の大名や旗本の屋敷が列挙されて
おり、二回、三回と入られた所もある。 奥方とか女中部屋が狙われ、盗まれた物は金貨が殆どであり前後合計で
3,121両という事であるから現代に直すと5億円位か。 盗んだ金は全て酒食、遊興、博打に使い切り手持ちは全く
無かったという。 不思議な事は十両盗めば首が飛ぶ、と言われた時代で最初捕まる迄に既に700両以上盗んでいる
のに入墨所払いで済んでいる事である。 想像であるが被害大名たちが面子からか、或いは盗まれたのが分らず
被害届けを出して居なかったからではないだろうか。
鼠小僧が処刑されたのは1832年(天保三年)、36歳の時である。

天保雑記解読文: 被害大名一覧、判決文


原文一部、
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