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              薩摩風土記

 薩摩風土記は江戸時代後期に書かれた地誌で、写本は国会図書館に二種類、国立公文書館には七種類程伝わっているが板本は作られなかったようである。 
 薩摩関連の史料としては余り取り上げられた事もないが、当時の本としてはカラーの丁寧な挿絵が多く風俗、地誌を視覚で捉える事ができる珍しい本である。 
 本の構成は二分冊から四分冊迄あり、写本により話題の省略も見られる。 此処では省略のない三分冊の国会図書館蔵を底本とした。 
 この写本には天保五(1834)年に写された奥書があり、最新記事は文政五(1822)年であるから1830年頃に原本が成立したものと思われる。 (20201124)
 

鹿児島藩ではこの頃文化事業が盛んであり、有名な薩藩旧記雑録、三国名勝図絵等が相次いで成立している。 本書の作者については全く情報がないが、鹿児島藩の藩士で御用聞役として長崎に駐在していた人物と想像する。
 内容は主に鹿児島城下の地誌、祭礼、風俗から始まり、薩摩の属国であった琉球国の地誌風俗、更に薩摩、大隅、日向の名所案内が前半にある。 後半は長崎が開港地となる経緯、切支丹制禁の事、天草島原の乱、オランダ貿易など本のタイトルと少し異なる異国との交易史について述べている。

現代文訳注にあたり以下底本と異なる所がある。
  ・鹿児島城下の地誌、風俗と琉球とそれと混在している所があるので、話題の場所を
   変えた箇所がある。 翻刻文は底本通りとした

   ・挿絵が底本では記事と全く違う所にある事が多いので、ある程度記事に近い所に
   挿入した。 翻刻文では挿絵は(図)として省略したが書込みは底本通りの
   場所にした。

  ・挿絵が本文記事になく関係不明のものは除いたが、全体の九割以上は掲載した。

    薩摩風土記 現代文訳注1→こちら        現代文訳注2→こちら            

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