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                   岩淵夜話
構成
   岩淵夜話は大道寺友山が著述したものであり、徳川家康の事跡についての説話がほぼ年代順に展開している。 
写本は内閣文庫にも幾つかあるが各説話のタイトルは無く、一つ書きで書かれ、巻なども分かれていない写本が多い。
 但し同文庫の糟粕集(217-0028)に納められた2分冊には巻があり、初めの分冊は1-2巻、31話からなる家康の出生
から関東入国前までを含み、後の分冊は3-5巻として36話からなり、ほぼ関東入国から関が原前後、大坂夏の陣の終り
までの説話を含んでいる。 家康の事跡や講話を通して武士道を伝えようとする友山の意図が良く著わされており、
落穂集追加や駿河土産にある説話と同じものも幾つかある。
成立時期
   岩淵夜話の成立は何れの写本にも記録がないが、他の落穂集や駿河土産に比べて最も早い時期に成立したと
推定される。 というのは大道寺友山が会津に仕官して、落度ありと追放されたのが元禄十三年(1700)で、その後
武州岩淵(東京都北区)に寓居した時に著わしたものが岩淵夜話と云われる。 更にその後正徳四年(1714)には
福井藩に仕官して、その三年後隠居して1726年に没するまでに、駿河物語、落穂集など著わしたようである。 
写本に著述年月日の入っているのは落穂集のみで何れも最晩年の頃となっている。
底本について
   この解読に用いた底本は内閣文庫(159-22)で岩淵夜話別集と云う写本で、カナ交じりの漢文調で書かれて
おり字体は楷書で読みやすい。 又前述糟粕集に納められた岩淵夜話に基づき巻を付け、更に参照し易くするため、
原文にはないが説話順数と適当なタイトルを付けた。 なお今回の解読にあたっては関東入国(天正18年、1590年)
以降の説話を取上げ、それ以前の事を著わした1-2巻は割愛した。(20070707)

岩淵夜話別集3−5巻 (現代文訳を見る場合は目次各項目右の現をクリックしてください)

          目次 現代文          目次 現代文
第三巻 五十 話  大野修理本領安堵
三十二話 金三郎、吉丸に草履を履かす 五十一話 山名禅高の羽織
三十三話 関東入国江戸の建設 五十二話 台所係常見の香物
三十四話 浅野弾上、秀吉に異見 五十三話 大仏よりも真直ぐな政治
三十五話 大久保石見守と金山 五十四話 主人の悪事を諌める
三十六話 蒲生飛騨守、曲淵老人を望む 第五巻
三十七話 秀吉遺言の体制 五十五話 鷹狩の目的
三十八話 反石田派大名から三成を保護 五十六話 雷に対する用心
三十九話 大坂城にて家康暗殺計画 五十七話 仏法の話 
第四巻 五十八話 阿部川の水を引く
四十 話  長束大蔵へ脇差を贈る 五十九話 火事を出した老婆
四十一話 家康関東下向と石田の逆意 六十 話  駕籠は独りでは担げぬ
四十二話 堀尾帯刀の事 六十一話 人材は宝の中の宝
四十三話 岐阜の大柿を奪い取る 六十二話 親子の話
四十四話 勝って甲の緒を締める 六十三話 池田家の忠義の家来
四十五話 福島正則の事 六十四話 小出大隈守の事
四十六話 石田三成の生捕り 六十五話 虚飾を叱る
四十七話 福島家の三家老 六十六話 仇を報いるに恩を以てす
四十八話 三河守秀康の腫れ物 六十七話 家康の指の節
四十九話 山内一豊土佐拝領 以上完

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