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                     駿河土産


          写真は旧江戸城和田倉門付近
   駿河土産は落穂集と同じく大道寺友山が書いたもので五巻長短53話からなる随筆です(写本によっては六巻もあり)。 成立時期は不明ですが落穂集成立が最晩年の享保十二・三年(1727,8年)ですから、それより前の1720年前後と思われます。 この駿河物語の多くの内容が落穂集に引用されています。   
   話題の90%以上は1600年の関が原の戦い以後、徳川家康の天下となりますが、その時から大坂夏の陣で豊臣家が滅亡、翌年家康が他界するまで、その間16、7年の家康の逸話を集めています。 特に1605年の隠居後大御所として駿府から江戸幕府をコントロールする様子が生々と書かれており、家康は政治家として非常に合理主義者である事もよく表現されています。 
   解読の底本には国立公文書館内閣文庫の駿河土産(159-054)を使い、参考として同文庫別写本(159-053)を参照しています。(20070211)

第六巻(24話)について解読及び現代語訳を追加します。 なお此分の底本は内閣文庫の上下二冊本(159-052)の巻之六に基きます。  内容は冒頭の頼朝の話を始め、1696年に成立したと言われる武功雑記(平戸藩主松浦鎮信著)からの引用と思われる話題が多数含まれています。(20140715)
 現代文訳
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駿河土産総目録 (原文翻刻) 現代語訳は下記項目クリック
巻之一 01 本多佐渡守へ秀忠様御律義に付上意之事  秀忠公は律儀に過ぎるとの事     1
02 権現様駿府御城へ御引移被遊候節御譲金之事 家康公のお譲り金の事
03 足ること知りたる者ハ常に足といふ事 足るを知る事
04 権現様嶮岨成場所ハ御歩行被遊候事 険阻な所は歩行する事
05 加藤清正へ三ケ條の異見を本多佐渡守へ仰 加藤清正への三か条の事
06 弓之師匠吉田出雲孫弟子三人御三家へ被為進 弓の名人御三家へ派遣
07 大野修理噂を申上候處御機嫌損せし事 大野修理の噂
08 土井大炊頭へ関東ニて新田取立哉との御尋 関東の新田開発について
巻之二 09 或時医師衆へ命ハ食に在と云世話之事を御尋 命は食にありと言う事
10 安倍川町遊女繁昌ニ付、彦坂九兵衛へ被仰付 安倍川町遊女繁昌の事
11 御伽衆の内より頼朝公之噂仕候ニ付上意之事 頼朝公の噂
12 座敷ニて角力取居候所へ権現様被為成上意 御番衆の座敷相撲の事
13 駿府ニて御足袋箱之事 駿府城の足袋箱の事
14 或時御伽衆の内京都ニて雷落候ニ付上意之事 落雷についての上意
15 京都大仏殿炎上之儀ニ付、淀殿より御願之事 京都大仏炎上につき淀殿願
16 御旗本衆中并外様大名衆秀忠様へ被仰遣候 旗本、大名取扱い秀忠様へ忠告
17 秀頼諸将之首実検ニ付御不審之事 秀頼赦免の事
巻之三 18 駿府御城不明御門番之事 駿府城門番の事             3
19 松平武蔵守が噂申上候ニ付上意之事 松平武蔵守の事
20 松平新太郎殿始て御目見被仰付候節之事 松平新太郎お目見え
21 醍醐之定行院遠島被仰付候事 醍醐寺定行院、遠島
22 奥方の女中松下淨慶をにくみ候事 駿府女中、松下浄慶をにくむ事
23 浅野左京太夫御加増被下候砌後藤庄三郎御尋 浅野左京太夫の鷹狩り
24 権現様何流と有る御軍法御用ひ不被遊候事 信玄流兵法に諸事変更
25 権現様御軍法御咄之事 軍法について
26 尾張・紀伊国両家え御家老職被仰付候事 尾張・紀伊家へ家老付ける
27 大坂落城之時茶臼山より御覧被成候節之事 茶臼山へ尾張公遅参
巻之四 28 紀伊殿え安藤帯刀御異見被申候事 紀伊殿へ安藤帯刀意見の事
29 水戸頼房公御年若之時男だての事 水戸頼房公の若い時
30 松平薩摩守忠吉公御死去之事 松平忠吉公病死
31 武道を嗜者は戦場えの覚悟可有之との上意 戦場へ赴く者の覚悟
32 大坂冬御陣之節正宗・義宜・景勝被参候事 伊達政宗、佐竹義宣、上杉景勝来訪
33 織田有楽、大野修理両人茶臼山え参上候之事 織田有楽・大野修理来訪の事
34 大坂冬御陣之節城中より下町筋自焼之事 大坂冬の陣で城下自焼の事
35 大猷院様御代天海大僧正御伽之事 天海僧上、家光公を語る
36 佐竹義宜ハ律儀なるものとある上意之事 佐竹義宣は律儀者
37 将軍様より御軍法之御書付御覧ニ被入候事 秀忠将軍の作戦書を評す
38 将軍様御急被遊候ニ付権現様御機嫌不宜候事 秀忠将軍の強行軍に不興
39 権現様大坂江御取懸ケ被遊候節之事 大坂夏の陣兵糧の事
40 御持旗、御長柄抔住吉辺え立ならべ可申上意 大坂落城の朝の事
巻之五 41 御具足不被為召御袴斗ニて御座被遊候事 家康公は具足付けず袴で指揮     5
42 豊国明神之前え何方共不知香典包銀有之候事 豊国明神前に香典
43 将軍様江戸表え還御ニ付権現様え御伺之事 秀忠将軍江戸還御お伺い
44 伊勢御師戸部太夫家内闕所入牢之事 伊勢神職入牢の事
45 増田右衛門・高力左近え御預ケ之事 増田右衛門父子の事
46 織田三七郎信孝切腹之時辞世御咄之事 織田三七郎信孝の辞世の事
47 太閤之代に大角与左衛門と云者之事 大角与左衛門の事
48 井伊掃部頭家来三人ニ相討ニ付上意之事 掃部頭家来相討の事
49 松平肥前守松平薩摩守松平陸奥守三人え上意 前田、島津、伊達に銘刀を与える
50 権現様御不例之砌板倉内膳正え被仰候趣之事 板倉内膳正への遺言
51 岡崎之御城ニて御敵対申候門徒四ケ寺之事 岡崎城時代の敵対門徒
52 関東御入国之砌御長柄持被召抱候 関東入国時長柄部隊創設
53 御蔵米多過候段勘定方より申上候ニ付御不興 関東入国時の御蔵米の事
巻之六 54 神君頼朝卿御咄品々之事 家康公、頼朝卿を評する         6
55 人質の勘弁の事 人質は慎重に考える事
56 三年になれハ三ツに成世話之事 三年たてば三つになるの諺
57 大国治法之事 大国の治め方
58 治乱天気に等き事 治乱は天気と同じ様
59 賀茂社人公事之事 賀茂神社の訴訟
60 公事聞様御物語之事 訴訟の決済法
61 仕置肝要之事 刑罰に関する注意
62 秀吉御振舞に付、本多佐渡守え上意并御請 秀吉の接待に付本多佐渡へご下問
63 御一代之御働、土岐山城守物語之事 家康公の働き土岐山城守語る
64 権現様尾州御通之事 家康公昔の武功を語らず
65 長岡利助水呑事 長岡利助が水を呑む
66 天野何某不甲斐なき事 天野何某は不甲斐ない奴
67 松平下総守御鑓拝領之事 松平下総守が鑓を拝領する
68 加州大矢武右衛門鑓合事 大矢武右衛門のその後
69 中原御殿夜中犬吼事 中原御殿で夜中犬が吼える
70 真田陣喰留られ付、内藤武功之事 真田攻めで内藤武功の事
71 村越・安藤・成瀬知行下さる事 村越・安藤・成瀬に知行下さる
72 小坂新助手柄之事 小坂新助の手柄の事
73 小笠原越中守御預之事 小笠原越中守お預けの事
74 戦場ニて落武具御評之事 戦場における手柄
75 細川三斉鉄砲差上事 細川三斉へ鉄砲返却の事
76 秀吉軍慮御噺之事 秀吉の戦略談議
77 千葉笑之事 千葉笑いの事

駿河土産関連年表→こちら
現代文は目次と対応して読む事もできます→こちら

駿河土産写本
(159-054より)
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追加巻之六写本
(159-052)
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