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                       岩淵夜話
                    
 −徳川家康説話集ー


慶長九年62歳頃の家康肖像(久能山東照宮博物館蔵
   岩淵夜話は江戸時代中期に大道寺友山が著述したものであり、徳川家康の事跡についての説話がほぼ年代順に展開している。 写本は国立公文書館内閣文庫にも幾つかあるが各説話のタイトルは無く、一つ書きで書かれ巻なども分かれていない写本が多い。 但し同文庫の糟粕集(217-0028)に納められた2分冊には巻があり、初めの分冊は1-2巻、31話からなる家康の出生から関東入国前までを含み、後の分冊は3-5巻として36話からなり、関東入国から関が原前後、大坂夏の陣の終り迄の大御所時代の説話を含んでいる。 
家康の事跡や講話を通して武士道を伝えようとする友山の意図が良く著わされており、落穂集、駿河土産にある説話と同じものも幾つかある。
   
    岩淵夜話の成立は何れの写本にも記録がないが、友山の他の著書である落穂集や駿河土産、越叟夜話等に比べて最も早い時期に成立したと推定される。 理由は大道寺友山が会津藩に仕官して落度ありと追放されたのが元禄十三年(1700)で、その後武州岩淵(現東京都北区)に寓居した時に著わしたものが岩淵夜話と云われる。 更にその後正徳四年(1714)には福井藩に仕官して、その三年後隠居して1726年に没するまでに、駿河土産、越叟夜話、落穂集など著わしたようである。 写本に著述年月日の入っているのは越叟夜話と落穂集のみで、落穂集は友山の集大成の様であり、最晩年の著述となっている。

   
   この解読に用いた底本は内閣文庫(159-22)で岩淵夜話別集と云う写本で、 又前述糟粕集に納められた岩淵夜話に基づき巻を付け、更に参照し易くするため、原文にはないが説話順数と適当なタイトルを付けた。 なお写本には岩淵夜話と岩淵夜話別集があるが、夫々の内容は同じである。 2007年7月に第三巻ー第五巻の翻刻、現代文訳を当HPに発表したが、今回1−2巻の翻刻、現代文訳を追加すると共に、全巻通しての縦書現代文訳(pdf版)を追加した。 (20160712)

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岩淵夜話1−2巻 (現代文訳を見る場合は目次各項目右の現をクリックしてください)

         目次 現代文      目次 現代文   縦書現代文
第一巻 岡崎時代 第二巻 浜松時代   現
縦書現代文
(PDF1.58M)
こちら


第一話 岡崎で誕生、織田家に幽閉 十八話 北条氏政と面会
第二話 今川家に寄寓 十九話 甲州武士の採用
第三話 今川家で元服、岡崎に帰還 二十話 秀吉と一戦、長久手陣
第四話 今川義元討死、大高で孤立 二一話 甲州流軍規の採用
第五話 今川家に失望 二二話 背中の腫物
第六話 今川家と決別 二三話 本多作左衛門の人柄
第七話 織田信長と和睦、同盟 二四話 秀吉と親交
第八話 金の馬印 二五話 家臣の加増
第九話 一宮の家来救援 二六話 武田信玄の死
第十話 矢矧橋の事 二七話 父子の隙間風
十一話 浅井長政の事 二八話 嫡子信康の自害
十二話 姉川の戦い 二九話 小宮兄弟の事
十三話 金ヶ崎の撤退 三十話 長久手陣を語る
十四話 抜駆けの厳禁 三一話 小僧三ヶ条の咄
十五話 池の鯉の咄
十六話 松永弾正の事
十七話 信長の死と甲州経営

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岩淵夜話3−5巻 (現代文訳を見る場合は目次各項目右の現をクリックしてください)

          目次 現代文          目次 現代文
第三巻  関東入国、江戸の建設 五十話  大野修理本領安堵
三二話 金三郎、吉丸に草履を履かす 五一話 山名禅高の羽織
三三話 関東入国江戸の建設 五二話 台所係常見の香物
三四話 浅野弾上、秀吉に異見 五三話 大仏よりも真直ぐな政治
三五話 大久保石見守と金山 五四話 主人の悪事を諌める
三六話 蒲生飛騨守、曲淵老人を望む 第五巻  駿府大御所時代
三七話 秀吉遺言の体制 五五話 鷹狩の目的
三八話 反石田派大名から三成を保護 五六話 雷に対する用心
三九話 大坂城にて家康暗殺計画 五七話 仏法の話 
第四巻  関ヶ原戦前後 五八話 阿部川の水を引く
四十話  長束大蔵へ脇差を贈る 五九話 火事を出した老婆
四一話 家康関東下向と石田の逆意 六十話  駕籠は独りでは担げぬ
四二話 堀尾帯刀の事 六一話 人材は宝の中の宝
四三話 岐阜の大柿を奪い取る 六二話 親子の話
四四話 勝って甲の緒を締める 六三話 池田家の忠義の家来
四五話 福島正則の事 六四話 小出大隈守の事
四六話 石田三成の生捕り 六五話 虚飾を叱る
四七話 福島家の三家老 六六話 仇を報いるに恩を以てす
四八話 三河守秀康の腫れ物 六七話 家康の指の節
四九話 山内一豊土佐拝領 以上完

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